
🖋 この帯のここが凄い!
「勝利」と「喪失」という、物語における究極のプラスとマイナスを「同時に」という一言で接続し、一瞬にして読者の情緒を不安定にさせる力があります。通常、魔王の討伐は物語のゴールであり、最大のカタルシスをもたらす瞬間ですが、その輝かしい達成の直後に「――」という沈黙のダッシュを挟んで綴られる「帰らぬ人となった」という冷徹な事実は、読者の脳内に「なぜ?」という巨大な空白を生み出します。
この短い二文は、達成感に浸る暇を与えずに悲劇を突きつけることで、読者の視点を「勇者の活躍」から「勇者の死の不自然さ」へと強制的にシフトさせます。勝利の代償としての死なのか、あるいは勝利の陰に隠された別の要因があるのか。一切の説明を省き、ただ「結果」だけを並列させるこの無機質な提示方法こそが、この本を手に取らせます。
📖 30秒でわかるあらすじ
魔王が倒され、世界に平和が訪れた。しかし、その英雄的偉業を成し遂げた勇者は、凱旋することなく命を落とした。かつての仲間たちは語る、「勇者は立派に戦い抜いた」と。しかし、四半世紀後にその死の真相を追う調査員が目にしたのは、美化された伝説とは似ても似つかぬ、歪な証言の数々だった。勇者は本当に魔王に殺されたのか、それとも——。ファンタジーの皮を被った、峻烈な人間ドラマとミステリーが幕を開けます。

■書籍情報
出版社: KADOKAWA
書名: 誰が勇者を殺したか
著者: 駄犬


